トラウトルアー図鑑23: アームズミノーSP

ヨーヅリ、アームズミノーSP。 タバコの銀紙の様なウロコや、側線の感じなど、プラスチック製ミノーでありながら、ハンドメイド風なディテールにこだわった。そんな感じのルアーです。

ヨーヅリ、アームズミノーSP

タバコの銀紙の様なウロコや、側線の感じなど、プラスチック製ミノーでありながら、ハンドメイド風なディテールにこだわった。そんな感じのミノーです。
シェイプのラインに洗練された美しさを感じて、入手しました。
トラウトに使いたかった。

実際には、僕の頭の中にあったイメージと比べ、かなりトリッキーなアクション。
理由は重心の位置が安定しないことにありました。
重心移動システムが搭載されていて、ウエイトには一応の定位置があるものの、それが常に固定される構造にはなっていない。
だから、ロッドアクションを加える度に、ウエイトは後方へと置き去りにされ、都度、カチン、カチンとクラッキング音が発生する。
トラウトより、バスに向いているカナ。
そんなイメージでした。

トラウトに使いたい気持ちのほうが強かったから、いつかサクラマスにでも使ってみようカナ。などとなり、残念ながら、結局、二軍ルアー。
出番がなかった。

でも実は、この出会い方が悪かった。
このミノー、最初から、バス用のミノーとして見立てていれば、確実に一軍ルアーになれる実力を持っていたんです。
気に入らなかった重心移動の構造の中に、素晴らしさがありました。
気付くまで、とても長い時間がかかってしまった。

2連直列ウエイトルームとでも言いましょうか?
前後に分かれて2つの重心移動システムを持っていた。
で、それぞれのウエイトボールは、前方の定位置に戻る為に必要な、ボディーの傾斜角度が異なる。

キャスト後、2つのウエイトは共に後方にあるから、オシリを下にして、斜めに浮いている。
リップに水圧を受けて、ミノーの頭が下向きになっていこうとすると、まず最初に1つ目のウエイトが定位置に移動する。
移動したのは前方側のウエイト。
この時、ミノーはほぼ水平な状態。
更にオジギしていくと、2つ目、つまり後方側のウエイトが定位置に移動してくる。
今度は、少し頭を下にした浮き姿勢となる。

アームズミノーSPの、SPは、サスペンドのSP。
極論を言えば、ロッドアクションの加減でウエイトの位置を変化させて、水中にあるミノーの浮遊姿勢を3段階で選択できるワケです。
リップにどの様な角度から水圧をかけるかによって、泳ぎ出しのアクションを変化させられる。ということでもあります。

現実問題として、これらを理屈通りに自在に操るのは不可能ですが、少なくとも、頭を上に向けていれば、泳ぎ出しのアクションはトリッキーなものになるし、下に向けていれば、シッカリと水を捉えて泳ぐ。
その中間もある。
2つのウエイトのそれぞれの位置を想像しながら、これらをうまく組み合わせてアクションさせる。
そういう、チョット変わった楽しみ方ができる。

ジャークをおりまぜて使ってみると、実際、このミノーはバスを良く連れて来てくれます。
使う側の心持ちの問題ではあるのでしょうが、ミノーを操る際のロッドアクションの強弱のバリェーションは、通常のミノーを扱う場合に比べて、余計に意識して丁寧なものになると言うか、繊細になると言うか。
だから結果として、実に複雑で、面白いミノーのアクション表現が実現されるのだと思います。

いつか、サクラマスにも試してみないといけませんね。

(even)

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