夏を引き止める蝉
台風18号は、通過するにあたって各地に大量の雨を降らせ、大きな被害をもたらして行きました。
先ず、この度の豪雨の被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げたいと思います。
僕の棲む地域にも避難勧告が発令される等あり、不安な時間を過ごしたのでありました。
台風が日本海側に抜けて温帯低気圧に変わる頃、TVではまだまだ雨の降り続く地域が有ると報じられているのに対し、窓の外は晴れ間が覗いていました。
そうなると当然釣り人として川の様子が気になってしまうのですが、ライブカメラを見ると当然のことながら釣りなど不可能な状況であります。
カレンダーをちらりと見て、3日後の休日に水位が落ち着いていることを願うのでありました。
川の回復を待つ3日間、想うのは魚達の安否。
あの激流と濁りをどこでどうやってやり過ごすのだろうといつも不思議に思ってしまいます。
釣行当日。川の状態は増水からの減水傾向といったベストな状態ではあるものの、魚達は全て流されてしまってはいやしないだろかと不安を拭い切れないまま釣りを開始しました。
ところが、思いの外 直ぐに反応がありホッと胸を撫で下ろしたのでした。
それと同時に釣り人的スイッチがONになり、この増水した流れと向き合いどう攻めるかを真剣に考え始めました。
いつもより少しだけ長いレングスのロッドを選んでいたお陰で、流れを挟んだ対岸にルアーをプレゼンテーションする事ができ、この日最初のアマゴに出会う事ができました。
ファーストヒットは早かったものの依然ルアーをトレースするのが難しい状況は続きます。
そこで活躍してくれたのがjackson社のアーティストFR70というソルトウォーター向けのルアーです。
このルアーはヨーロッパで大人気のアーティストFR80/105のダウンサイジングモデルなのですが、僕はヨーロッパの人達がこのルアーで何を釣っているのかは知りません。
しかし、以前よりFR80を本流域や渓流の大場所で使用していた事もあって、渓流のトラウトシーンにFR70を持ち込む事には何の違和感もありませんでした。
使用感はリップが水を良く掴みブリブリと強い波動を生み出すイメージです。
このボディーサイズに似合わない存在感のある動きが増水した流れの中で強力にアピールしてくれたのだと思います。
次々と激流に潜む魚達を引き出して来てくれました。
釣りに夢中になってしまうと、季節の進行を感じるシーンを見落としてしまいがちですが、ここでは意識せずともいたる所に“秋”を見る事ができました。
どこかでミンミンゼミが鳴いていました。夏が過ぎ去ろうとしている事を必死に引き止めている様に聞こえました。
不意に今年の渓流シーズンも残り僅かな事を思い出して、ついその蝉を応援したい気持ちになりました。
残りの生涯を必死に生きるであろうその蝉の様に、僕も残された今シーズンの渓の釣りを思いきり楽しもうと思うのであります。
タックル
ロッド:ジャクソン カワセミラプソディー562L
リール:ダイワ ルビアス2004H
ライン:YGKよつあみ G-soul PE 0.6号
リーダー:ナイロン 6lb.
ルアー:ジャクソン アーティストFR70・奏60
撮影機材
カメラ:Nikon D5200
レンズ:SIGMA ズームレンズ18~250mm
ロケーション
静岡県 富士川水系