飯田重祐釣行記 ’15/シベリア・コッピ川(2 )[渓流と湖の釣り/IN THE FIELD vol.19]

アンリパ飯田重祐のコッピ川シーマ釣り

飯田重祐釣行記 ’15/シベリア・コッピ川 (2)

 

コッピ川:

シベリア・ヤコビニヤニ山 南東に源を発し、タイガを抜け、極東、間宮(タタール)海峡へと注ぐ。
太古の自然を残し、冬季には長く氷に閉ざされる、全長約220kmのロシア中規模河川。
数を減らしたとはいえ、沿海州にはティグル(シベリアトラ)が棲む。

大型シーマ(サクラマス)の宝庫としては、あまりにも有名。
シーマ遡上のピークは5月末から6月といわれ、後半戦からは、大型タイメン(イトウ)も狙うことができる。
他にもピンクサーモン、チャムサーモン、ドリーバーデン、グレイリング等々、数多くの魚種を育み、トラウトアングラー憧れの地となっている。

 

静寂の待つ宿泊ロッジへ

20~30馬力を装備した3人乗りのボートは、荒瀬やプールを次々乗り越え、時に船底を浅瀬でこすりながら河口へと疾走していった。
川幅一杯に流れるコッピ川は力強い印象、やや濁りが入った流れの勾配は想像よりずっとキツい。
この川を釣るのか。

河口近くの右岸側にいかにも欧州的なロッジが何件か並んでいて、桟橋では忙しく魚をさばくロシア人の姿を見る事ができる。
砂地の狭い浜にボートの先端を突っ込む。

出迎えのガイド達は屈託ない笑顔で緊張と長旅の疲れを吹き飛ばしてくれる。
シンプルなロッジは正面に大きな薪ストーブがありその周りに部屋が3部屋。
荷物を部屋に入れて早速明日の準備。
タックルの破損や忘れ物はないようだ。
蚊やダニの心配をしてきたが全く刺されることはなかった。

風呂はないが川岸にサウナがある。
釣りが終わるとみんなサウナで汗を流すのが習慣。
これが一日の疲れを落としてくれた。

シーマの川、コッピ川畔のサウナ
▲ サウナからコッピ川を望む。一番好きな景色だった。

 

ロッジでの初めての夕食はタラバ蟹とシーマを食材にした料理が中心。
素材の良さを生かしたシンプルな料理とロシアのビールが最高の組み合わせだ。
基本は毎晩この料理なのだが意外と飽きないものだ。

タラバとシーマの燻製▲ タラバづくし(左)に、シーマの燻製(右)

シーマの川、コッピ川畔でタラバを茹でる。
▲ 朝水揚げしたタラバは、真っ赤に茹で上げられる。

テレビもない、携帯も繋がらない、静かな夜。
遠くで波の音がかすかに聞こえた気がした。

 

コッピ川の夜明け

コッピ川畔ロッジの朝食▲ 朝食の風景。左から、堀井君、正影君、澤田君、イチロー君、川口さん。

夜明け。
7時に朝食を済ませてからゆっくりの出発が有り難い。
朝食もなかなか豪華、特にパンケーキに濃い蜂蜜をつけるのがお気に入りだ。
この食事を続けていると帰る頃にはウェーダーがキツくなりそうだ。
これを6日間続けるわけだ。

 

シーマエッグ▲ ここにも、たっぷりのシーマエッグ。

 

シーマとの出会い

ボートに乗り込む。
上流へと疾走するボートはキツい流れに逆らうように進む。
昨日と濁りは変っていないようだ。

やや減水したようだがそれでも例年よりかなりの増水のようだ。
これでは中州はもちろん、河原も限られるのではないだろうか。
河原にボートを係留してウェーディングしてキャストするイメージだったがしばらくはボート上からの釣りになりそう。
緩流帯に顔を出している流木にロープを結んだり、アンカーを下ろしたり…  あゝ 忙しくなりそうだ。

透明度が悪いので今ひとつ流れのイメージが掴めないが、同船のみんなの釣りを見ながらアジャストする作業に注力した。

流れは強いのでルアーはヴィブロッシ70をダウンクロスにキャスト、流れを感じながらボトムを意識しながらシーマのコンタクトを待つ。
長雨の影響で大・小の流木が流入していると考えられるのでデコイ製SINGLE27/#2を装着して根掛かりを回避する作戦。

記念すべきファーストフィッシュはドリーバーデン。強い魚だし、美しい。
これも今回キャッチしたかった魚のひとつ。

オショロコマの降海型、ドリーバーデン▲ ドリーバーデンはオショロコマの降海型

 

そして念願のシーマとの出会いはその直後に訪れたのである。

アンリパ飯田重祐のコッピ川シーマ釣り

この川ではレギュラーサイズだが、日本の渓流釣り師がヤマメと遠縁の魚とロシアで巡り会うことができたのは感慨深いものがある。

 

[ロケーション] ロシア 6月下旬

アングラーズリパブリック、飯田重祐プロフィール

PHOTO & TEXT

[IN THE FIELD] The Special Angler
飯田 重祐

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