イワナ修行 [渓流と湖の釣り/IN THE FIELD vol.21]

渓流ルアーの秋イワナ釣り

イワナ修行

 

イワナ師との出会い

2015年の渓流釣りシーズンより当ウェブサイトにて釣行記を掲載して頂いたので、僕がアマゴをメインターゲットとしているのだとお気付きの方も居られるかと思います。
 

秋アマゴのルアー釣り

 

何事も無ければこの15年のシーズンも例年と同じ様に、身近な静岡県東部の河川や伊豆半島の河川でアマゴを追いかけ回していた事かと思います。

ところが、ひょんな事から天竜川水系のヤマトイワナをメインターゲットとするイワナ師と知り合う事となったのです。

求めるモノは異なるものの、釣り好きという実にシンプルな共通点のお陰で打ち解けるのに時間はかからなかったと思っています。
「機会が有ればご一緒しましょう。」という僕の言葉を掬い取るかの様に、後日釣りのお誘いを頂いたのでした。

それは、僕の平穏なトラウトフィッシングシーンに波風を立てる出来事となったのでした。

トラウティストにはお馴染みの釣り雑誌Gijieや週刊釣りニュース 中部版への執筆活動。
オーナーバリ、ヤマトヨテグス、フォレスト 等、釣具メーカーのテスターとしての活動も幅広くこなすそのイワナ師とは、永田幹夫さんであります。

 

永田幹夫氏の釣り

 

僕が、永田さんの事を知ったのはGijieに掲載されたヤマトイワナの釣行記だったと記憶しています。
ただ、同じ静岡県に住んでいるのに求めるターゲットが違った為かそれほどの親近感を持つことは無かったのです。
しかし、生粋のヤマトイワナへの拘りと山への熱い思いは文章を通じて伝わってきたのでありました。

折角ベテランアングラーの釣りを間近に見れるチャンスがあるのだから、ここは甘える事にしようと一緒に釣行する事に決めたのでした。

 

1度目の修練

ゴールデンウィークの1日を利用して永田氏の良く知る、天竜川水系へと僕がお邪魔する形での釣行となりました。
お仲間も誘ってのんびりとした感じの釣りではあったのですが、僕はこの山の険しさと水の押しの強さに戸惑っていました。

 

イワナ、アマゴのダウンストリーム

永田幹夫氏の渓流ルアー釣り

それと、イワナとアマゴが混生する水域で狙いを絞れずにいた僕とは正反対に、永田氏のイワナだけに的を絞った適格なアプローチは非常に新鮮でありました。

 

2度目の修練

『この場所は是非見ておいてもらいたい。』と永田氏の熱き要望にお応えする形で、長く狭く不安だらけの峠道を二つも越えて出向いたのは長野県大鹿村でありました。
この素晴らしき原風景はもうすぐ無くなってしまうという事はわかっていた為に、一つ一つの景色をじっくり目に焼き付けてゆきました。

 

長野県大鹿村の風景

長野県大鹿村の風景

この平穏な村に、そして南アルプスの中腹に無機質なリニアのレールが通されてしまう事が、一人の釣り人として残念でなりませんでした。
せめてこのイワナ達の棲む場所だけは残してあげてもらいたいと願うのであります。

渓流ルアーで秋イワナ釣り

 

3度目の修練

9月には秋のイワナを狙いました。
産卵を意識して上流を目指しているであろうイワナ達を追いかけて、2人で釣りあがるには窮屈に感じる沢を攻めて行きます。
 

渓流ルアーの秋イワナ釣り

 

窮屈と表現しましたが、相棒が居てくれるからこそ険しい場所にまで詰めて行けるのだと、普段単独行動ばかりしている僕は今更ながら気づいたのでありました。

そしてこの日、僕は年に一度お目にかかれるかどうかという程サイズのイワナを取り逃がし、反対に永田氏は苦手意識を持っていた秋の鉄色アマゴを手にしたのでした。

永田幹夫氏の秋アマゴ

 

修練の成果

一般的に渓流釣りのシーズンが幕を閉じた10月にも伊豆半島ではまだ釣りの出来る河川が幾つかあります。
9月以降の渓流で釣りをしたことが無いという永田氏と釣友の橋本氏をお招きしました。

15年の渓流シーズンの打ち上げ的な釣行にしたいと思っていたのですが、そこは人気河川の終盤という事もあってアマゴはなかなか釣れてくれませんでした。

 

永田幹夫氏の渓流ルアー釣り

 

案内するべき筈の僕もしかりで、3人で本流と支流を行ったり来たりするのですが、状況は一向に変わりませんでした。

ゲストのお2人に先行してもらい、僕は後からゆっくりと釣り上がりました。
今シーズン共にしてきた時を思い返しながら・・・。

着水音を抑えた精度の高いキャスト。
定説にとらわれず意外な場所が付き場となる事。
面倒臭がらずに魚の活性にルアーをアジャストする事。
縄張りから出たがらない魚への移動距離の短いルアーの操作。

イワナ釣りで学んだ事があれやこれやと頭の中を巡ります。

ふと我に返り、ナーバスになったアマゴが定説通りの付き場に居ないのであれば意外性の有るポイントを撃ってみる価値があるのではと思い、秋にはスルーしがちな白泡直下を重点的に狙ってみる事にしまた。

喰い波を利用して長時間のシェイキングで誘ってみたところ、ブンブンと首を振る乱暴な魚信が伝わったのでした。

色々な要素が折り重なって、ようやく手にした納得の一尾。

 

秋のアマゴ釣り

この立派なアマゴは、永田氏によるイワナ修行が無ければ出会えなかった魚だろうなと今この文章を綴りながらつくづくと思うのであります。

渓流ミノーにきた秋アマゴ

 

タックル

ロッド:ジャクソン カワセミラプソディー502L/452ULL
リール:2000番代
ライン:YGKよつあみ G-soul PE X-3 0.4号/ナイロン6lb.
リーダー:YGKよつあみ ニトロントラウトグレン 5lb.
ルアー:ジャクソン 奏40/50/60・奏F(プロト)・アーティストFR70・トラウトチューン/トラウトチューンHW

撮影機材
カメラ:Nikon D5200
レンズ:SIGMA ズームレンズ18~250mm

ロケーション
長野県 天竜川水系
静岡県 伊豆半島河川

木下 進二朗

PHOTO & TEXT

[IN THE FIELD] The second angler
木下 進二朗

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