サ ツ キ と 卵
ZANMAIとの出会い
トラウトフィッシングを始めた頃、最初は一人きりでした。
右も左も解からずに、只々奇麗なところで釣りがしたいという漠然としたイメージだけでこの釣りに足を踏み入れたのでした。
これまで集めたバスやソルトのタックルは全て売り払いました。
そして、夢中でトラウトタックルを買い漁り、雑誌を読み漁り、情報を漁っていたあの頃、中古釣具店で偶然見つけたハンドメイドルアーがありました。
当時20代前半で車のローンに追われていた僕は、値札に「中古 ¥2300」とある決して安くは無いルアーにしようか、「セール品 ¥980」のいつものヤツにしようか迷っていたのでした。
高い方が良いに決まっているという単純過ぎる考えとハンドメイドの方がトラウトマンぽいという見栄えから、意を決して「中古 ¥2300」をレジに持って行ったのでした。
こうして僕はZANMAIのルアーに出会ったのであります。
ちょっと使っただけで「やっぱりプラ物とは違うな。」と察する事が出来たのですが、その最初の一個は桂川への釣行時、川底に沈んでいたロープの様な物に引っ掛かってしまい僕の手元を離れて行きました。
その後は僕の様な若僧が持つには少々生意気に思えてしまう値段から、しばらくはハンドメイドのジャンルのルアーに手が伸びる事は有りませんでした。
繋がり
たった一人で始めたあの頃に比べて少しだけ変わった事といえば、仲間と呼ばせて貰える方達が出来た事でしょうか。
あのZANMAIルアービルダーである小平豊さんもその中の一人です。
氏とはCatch&Cleanという清掃活動でお会いして以来仲良くしていただいています。
僕の地元、芝川でイベントが有りますと声を掛ければ、忙しいにも関わらずお仲間を誘って駆けつけてくれたのでした。
今回はそのイベントの様子をちょっとだけお伝えしたいと思います。
放流&キャンプイベント
今回のイベントでは初日に銀毛アマゴの放流を。
二日目には発眼卵の放流を体験して頂きました。
近年めっきりと少なくなった富士川のサツキマスを復活させる目的と、成魚放流に頼らず天然に近い状態のアマゴを増やすための試みですが、トラウトと川を愛するアングラーの気持ちのこもったこの会が僕は大好きです。
発眼卵を置いた場所には、他の誰かが踏んでしまわぬ様「標」を立てるのですが、これが何となく僕たちが川を守るのだという決意の現れにも見えてきます。
そんな事を思っていると、小平さん達の班が林でごそごそと何かしています。
誰に頼まれたわけでも無くゴミを拾ってくれていたのでした。
僕はこの時、リバーキーパーとして至らない部分が有る事に気が付いたのと、日本のトラウトフィッシングシーンを引っ張ってきた方の心の広さに気づかされたのでした。
この場をお借りしてお礼を言わせてください。
通年解禁の特定区
芝川には平成26年に設けられた特定区が存在し、この区間内であれば通年釣りを楽しむ事が出来るのです。
僕の友人オオイシ君はこの日トラウトに初挑戦だったのですが、バスフィッシングで鍛え挙げられたその感性で見事に大きなニジマスを釣り上げていました。
そして、昔雑誌で見ていた憧れのあの人が、今自分の構えたカメラのファインダーの中に居て声を交わしながら釣りをしていると思うと、とても感慨深いものがありました。
ある意味メイン
日が暮れてからはBBQとキャンプを楽しむ事ができます。
そこでは、今シーズンの良かった事やダメだった事、昔話しやついさっきの話し、真面目な話しからどうでもいい話しまでネタは尽きませんでした。
美味しいお肉とお酒を頂きながら、濃密で贅沢な夜はゆっくりと更けて行くのでありました。
この記事を読んで芝川に少しでも興味を持っていただけたのであれば、下流のアマゴがサツキに成って卵だった子たちが立派なアマゴに成る頃に是非一度遊びに来て頂ければと思うのであります。
ロケーション
静岡県 芝川
芝川特区遊漁規則
期間:通年
対象:ルアー・フライ・テンカラ(ルアーのフックはシングルバーブレス1本のみ)
時間:日の出~日没
料金:日釣り券のみ ¥3000 芝川年券をお持ちの方・女性・小~中学生 ¥2500
(上記料金には鑑札腕章の補償金の¥1000が含まれています。お帰りの際に腕章返却で¥1000はお返し致します。)
場所:芝川下流域 長貫堰堤~西山堰堤までの間(区間内は全てキャッチ&リリース)