- 2017-4-19
- 渓流と湖の釣り/IN THE FIELD
- 渓流, イワナ, 木下進二朗, アマゴ
平和を願う
今年3月。
体調を崩していた事も有り、「日常」の有難味をしみじみと感じていました。
そんな状態でも釣りに行きたがる僕を気遣って、釣友が運転手をかって出てくれたお陰で無事に2017年の渓流釣りシーズンも幕を開ける事が出来ました。
体調も回復し「日常」を取り戻した頃には、仕事後の楽しみとして、いつもの様にトラウト誌を食い入る様に読んでいました。
以前は外来種として牽制されていたニジマスが野生化し釣り人に夢を与える事から、その価値を見直されていると読み取れました。
更に、これまで以上に魚の食性に訴え掛けるメソッドが取り上げられる事からもトラウトフィッシングの時代も少しずつ動いているのだと実感したのでした。
そんな夢の大物記事に浸っていたところに、「弾道ミサイル」「空爆」「サリン」そんな物騒なフレーズがTVから聞こえてきて僕の邪魔をしたのです。
美しいレインボーの写真からそちらに目を移したのなら、現実に引き戻すには充分過ぎる程の悲惨な映像が流れていました。
僕が、釣りをしている間にも世界の何処かでは争いが起き、子供達が犠牲になり、釣り竿では無く拳銃を持たされる。
そんな非道な現実がある事も知っています。
この悲惨な時代も少しずつ良い方向に向かってくれないか。などとTVの前で思う訳であります。
そんな僕は、今日も拳銃では無く釣り竿を振っています。
5年前台風による豪雨で、砂利に埋め尽くされたこの川も徐々に元の姿を取り戻してきた様です。
漁協さんの地道な放流活動のお陰か、本流筋ではコンディション抜群の個体が早期から相手をしてくれたのでした。
そして何よりも嬉しかったのは、支流で釣れた年越しと思われるアマゴの釣果です。
砂利の堆積が酷く、水量も乏しいそんな支流であっても脈々と命を繋ぐ魚達が居る事に感銘を受けたのでありました。
そんな折、古くからこの水系に足繁く通うジャクソン社の河西氏より「放流の無い支流で、原種のイワナが多く残る沢があるから行ってみませんか?」とお誘いを頂いたのです。
当日は雨模様で、各河川は増水気味だったのですがお目当ての支流は問題無い水量で、早速釣りを開始しました。
直ぐに良型、それも原種と思われる特徴的な個体が出迎えてくれたのでした。
その後も次々と姿を現すイワナ達。
魚影の濃さから、遊び心が出て来た僕は、懐かしきアイテム「アスリート9F」を結びました。
渓流域では大袈裟なサイズではあるけれど、食欲旺盛なイワナには効果がある事と、渓流的ビックベイトではないけれど、そのうち大きなイワナが喰い付いてくれないか などという淡い期待を抱きながら釣り上がりました。
しかし、反応は有れどなかなかヒットには繋がりませんでした。
一方で河西さんは安定して釣果を上げていました。
「ここまで。」と決めた最後の堰堤下でアスリート9Fを大きくダートさせた後のリトリーブ中にヒットがあったのですが、それは白泡下で翻った後フックを外して元の深みへと戻って行きました。
この日アスリート9Fでの釣果は有りませんでしたが、季節が進み魚達も動きやすい水温に成ればきっと…。と、楽しみが残った訳であります。
車に戻るまでの間、河西さんと道具の話しや過去の雑誌取材の裏話を聞きながら歩く時間が僕は大好きで、毎回色々な事を勉強させて頂いています。
たまに出る、強烈な冗談にもだいぶ慣れてきました。
僕も河西さんもこの日釣りをした川とは長い付き合いで、回復してくれて本当に良かった。と、昔を懐かしむのではなく、これから先への期待を持って川を後にしたのでした。
僕の日常の一部を切り取れば何とも平和的でのどかな風景が広がっています。
一方、世界中の至るところで繰り広げられている争いで、一寸先は闇という状況下に暮らす人達がいるのも確かです。
日本も他人事では済まされない現在。
数年前までは豪雨の影響で最悪の状態だった川が、少しずつ良い方向に向かって姿を変えながら流れ続けている様に、今、決して良いとは言えない世界情勢が、少しずつでも良い方向に歩みを進めてくれる事を願うばかりです。
次のお休みも平和的に釣り竿を振っていたいから。
タックル
ロッド:ジャクソン カワセミラプソディー 512ULL
リール:シマノ ヴァンキッシュ C2000HGS
ライン:YGKよつあみ G-soulPE X-3 #0.4
リーダー:ナイロン 4lb.
ルアー:ジャクソン トラウトチューン ダニエル アスリート9F アーティストFR55(プロト)
撮影機材
カメラ:Nikon D5200
レンズ:SIGMA 18-250mm
ロケーション
富士川水系