4月の雪 [渓流と湖の釣り/IN THE FIELD vol.36]

解禁!中禅寺湖のレイクトラウト

4月の雪

 

早朝の日光杉並木を走り抜けて日光市街を通り過ぎた頃には白い物がチラチラと車のフロントウインドウに当たりはじめていた。
いろは坂の手前にある電光掲示板には、チェーン必要、片側通行と示されており、十数台の車が既に待機していた。最後尾につくと、警備員さんが30分ほどお待ち下さいとの内容と、タイヤがスタッドレスかを確認していった。
そのままなすすべもなく、外をちらつく雪を眺めながら缶コーヒーを啜り、時間が過ぎるのを待つ。
ほぼ伝えられた時間通りに動き始めたいろは坂を登りきり、鳥居をくぐって中禅寺湖が視界に入ってきた。

白みはじめた岸際には既に等間隔に並ぶ熱いアングラーの姿が見てとれた。
すっかり出遅れてしまった自分も少しは焦りながら日釣り券を買いに走った。
聞けば、昨日も一日雪が降っていたそうで、予報では曇りだけれど、おそらく一日雪じゃないかという地元の方の話だった。

駐車場に移動したところで開始の花火が鳴った。僕はこれから着替えて準備なのだ。
幸い、すっかり明るくなっているのでライトも必要なくウェーダーに足を通し、カラカラに乾いたシューズの紐をキチッと結び、ジャケットを羽織る。
長めのロッドを繋ぎ、リールシートにハイギアのカーデイナル44Xをセットして、アップロックのスクリューシートを強めに閉めこむ。
気合いの入る瞬間だ。

今回はPEラインを巻いてきた。ベイルを起こしてスプールからスルスルとラインを出してガイドに通していく。
ジャケットから耐磨耗性のナイロンショックリーダーを取り出し、短めに結んでスナップを先端に付けた。
ここまででようやく準備が一区切りついて、車をロックし大きめのネットを背負って歩き出す。
歩道を歩いていると、フェルトソールにはすぐに雪がくっついてきて歩きにくい。

 

 

商店街を歩いていると日光彫りのお土産屋さんの方が除雪していたのであいさつしてみる。
僕「おはようございます」
おばちゃん「大変な日に当たっちゃったね」
僕「いつもこんな感じではないんですか?」
おばちゃん「だってもう4月だよ!こんなに雪が降るのは珍しい…」
僕「そうなんですね!」
おばちゃん「気をつけていってらっしゃい」
僕「ありがとうございます」
そんな会話のやり取りをした後にまた歩き出す。

考えてみれば、中禅寺湖にチャレンジするのは片手で数えるほど。
経験も乏しく、よく考えてみたら解禁日に釣りをするのは初めての事だった。
しかも、前日まで秋田のサクラマスを狙いに行くか迷いながら、結局夕方に予定が入ってしまい、今日は半日の予定で近場の中禅寺湖へ行ってみようと安易な考えで来てみたのであった。
このトラウトの聖地、解禁とあれば、雪もこんなもんかなぁ と勝手に思っていたけれど、どうやらそれは間違っていたようだ。

 

中禅寺湖解禁の釣り

 

岸際に沿って歩くようになると、アングラーが予想以上に多い事に驚かされた。
遊歩道は数多くの足跡で雪が踏み固められている。これはどうしたものか…
1時間くらいは歩いてからのポイントに行ってみようと考えていたけれど時間も勿体ないと頭を切り換えて、空いている場所がたまたまあったので適当にそこへ斜面をラッセルして降りてみることにした。

 

日光中禅寺湖でトラウト釣り中禅寺湖のレイクトラウト釣り

 

こうして無事に湖面へとエントリーできた僕は、18gのスプーンを気持ちよくフルキャストして、ボトムまでカウントダウンしなから落として、アクションを入れながら巻き上げてみる。
何回目かに抑え込まれるようなアタリがあり、ロッドを煽るとカーデイナルのドラグが心地よく唸りを上げた。

 

スプーンに来たレイクトラウト

 

無我夢中でやり取りをして、スプーンをくわえて無事に上がってきてくれたのは美しく格好いいレイクトラウト。
冷たい水に手を浸しながら撮影させてもらい、フックを外してリリースする。

 

レイクトラウトをリリース

 

その後も何度かレイクトラウトからのコンタクトを楽しみながら2時間だけ釣りを楽しませてもらい、充分に心が満たされた僕は、帰路につく事にした。
帰りがけ、気になるコーヒー屋さんに足を伸ばしてみる。
ゆったりとした時間が流れて、慌ただしい生活の中で、少しだけ大人の旅を楽しむ事ができた気がした。

 

日光のコーヒーショップ

 

タックル

ロッド:アングラーズリパブリック・シルファー89H
リール:アブ・カーデイナル44X
ルアー:スプーン18g
ライン:ヤマトヨテグス・PEレジンシェラー1号、ナイロンリーダー16lb

カメラ
ペンタックス・WG-3
ペンタックス・K-3+シグマレンズ

ロケーション
栃木県 中禅寺湖 4月

 

RoughStream

PHOTO & TEXT

[IN THE FIELD] The first angler
Rough Stream

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