- 2017-8-1
- ブラックバス注目記事
- 河口湖, 柿川清修, 中田敬太郎
プロップベイト ―― 最近何かと耳にする機会が増えていませんか? 直近では2017年トップ50第2戦、弥栄ダムでの激闘を制した青木大介プロが使用していたルアーの1つにステルスペッパー(TIEMCO)がありましたね。他にも私、筆者の周辺では2016年7月にYouTubeで公開された草深幸範プロのガストネード(DAIWA)の動画が話題になっていました。
プロップベイトは決して真新しいジャンルのルアーではありませんが、今改めてその価値に注目が集まりつつあるように思います。
「でもこれ、どうやって使うんだろう??」
ウォブルもしないし、引き抵抗も薄い…… 何だか釣れる気がしない ―― そう思うのは私だけでしょうか?(笑)
苦手なI字系を克服する為にも、今回はこのプロップベイト、主にステルスペッパーの使い方についてティムコプロスタッフの中田敬太郎さんにご教授いただきました。
■ステルスペッパー、どうやって使いますか?■
―― 敬太郎さん【以下(敬)】、基本中の基本から教えて下さい!
(敬)分かりました! 使い方はただ巻きです。I字系なのでジャークもトゥイッチも必要ありません。水押しの無いシンキングタイプのハードルアーは沈んで行くとバスに見切られてしまうので、レンジコントロールして一定層を一定のスピードで巻くことが基本になります。
―― シェイクしながら巻くような使い方はありますか?
(敬)マッディウォーターでならアリかもしれません。例えば霞ヶ浦…… バスからバイトを引き出せる距離が短い場所ではシェイクすることでルアーを気付かせることができるかもしれません。が、無くは無いという感じですね。僕がガイドをしている富士五湖など、水がクリアなフィールドではやはりただ巻きが釣れますよ。I字系の釣りは難しいところもありますが、ハマった時はとにかく良く釣れます!
―― どんな状況でハマる釣りなのでしょう?
(敬)大切なのはマッチザベイトです。その季節にバスが捕食しているベイトフィッシュのいるエリア、レンジでゆっくり巻きましょう。河口湖を例にすると、主に6~8月の三か月間にステルスペッパーの出番が増えます。
■ステルスペッパーの出番・6月編 ■
(敬)6月のバスは多くの個体がアフタースポーンです。ショアラインにあるウィードのインサイド・アウトサイドに付いてギルネストやオイカワネストを狙っています。ステルスペッパーはオイカワへのマッチザベイトとして使うので、ウィードトップにオイカワが泳いでいる時に投入しましょう。ノーマル(シンカー無し)のステルスペッパーをゆっくり巻いて、バスに喰い上げさせる!アフターで疲れていますから、ゆっくり動くモノへの反応も良いです。
ウィードにフライ(バスの稚魚)が溜まっている時には雄のバスが釣れることもありますね。
―― ステルスペッパーはサイズやペラにいくつか種類がありますよね? どれを使うのがお勧めですか?
(敬)関東のベイトフィッシュのサイズは5㎝~7㎝というのが基準です。クリアウォーターのバスはベイトのサイズ感にすごく敏感なので、ステルスペッパーも55か70の出番が多いですね。70を一番良く使いますが、55にサイズダウンさせると数が釣れるということもあります。
シャローを攻める時にはステルスペッパーナチュラルも効果的です。樹脂製のプロップなので光を反射せず音もありません。シャローの魚はアピールが強いと逃げてしまうこともあるので、名前のとおり、よりナチュラルに誘うことができます。(※写真1枚目・一番上のステルスペッパーがナチュラル70S)
―― シャローのウィードトップで釣る為のコツなどはありますか?
(敬)遠くを狙って投げる、なおかつバスの目線よりも上を引いてあげることが大切です。
シャローで魚が見えている時はラインをバスに掛けない(バスの上を通さない)ようにしましょう。斜め後ろから通すとか ―― プロップベイトはアピールの強いルアーではないので、つい魚に対して「見せよう! 近づけよう!」としてしまう人もいます。それだと逃げられてしまうので、むしろ着水音は小さく、ルアーをウィードに隠しながら、バスに見えないように引いてみましょう。その方が見切られずに口を使ってくれるはずです。
■ステルスペッパーの出番・7~8月編 ■
(敬)河口湖だと「梅雨が明けそうだね」って頃合いからグングン水温が上がってサマーパターンへと移行します。アフターから回復したバスは、※サーモクライン より下にいるワカサギの群れに対して捕食行動を取る個体が多いので、7~8月はステルスペッパーのライトキャロライナリグを使用します。
基本は3.5gのシンカーにリーダーが80㎝くらい。これをカーブフォールでゆっくり狙っているレンジまで沈め、ゆっくり巻き上げる。より深いレンジを狙うときや、ワカサギが多すぎてリアクションの要素が欲しい時は5gのシンカーを使うこともあります。同じレンジを早く巻きたい時ですね。
【※サーモクライン…(水温躍層)・温かい水と冷たい水の境界の層。温かい水は冷たい水よりも軽くなる為、夏場は下図のような水温成層が安定して形成される。】
―― 何もない中層を巻くのですか?
(敬)大きな岬やブレイクライン、流れの当たるフラット等で魚探を確認し、ベイトやフィッシュイーターの有無、サーモクラインの水深を見ながら釣ります。3.5gのライトキャロをカーブフォールさせていくと3秒で1mくらい沈むので、4mにサーモクラインがあれば12秒カウント、6mなら18秒カウントといった感じで沈めます。フリーフォールだとキャロのリーダーがルアーに絡んでしまうことがあるのでカーブフォールさせます。
確かに何も無い所を巻いているようにも見えますが、このサーモクラインというのはワカサギにとって壁なんですね。ワカサギは下の適水温より上には行きたくないので、バスはサーモクラインへワカサギを追い込んで捕食しています。サーモクラインはストラクチャーの1つと考えましょう。
―― なるほど、だから巻き上げる釣りが有効なんですね!
(敬)そうです。この壁に浮いているバスのスイッチを入れるにはワカサギのボイルが必要になってきます。魚探を見て、ワカサギの群れがスプラッシュしている状態だと大チャンスですね。
―― この釣りは7~8月の二か月間有効なんですか?
(敬)使い方は一緒ですが、季節の進行具合でレンジが変わります。河口湖や野尻湖といった山上湖は8月に入ると水温上昇も頭打ちとなって、その後の水温は低下していくので、狙うレンジもどんどん浅くなっていきますね。
ちなみに、キャロで使うステルスペッパーはナチュラルではなくノーマルのものがお勧めです。シャローより光量が少ない場所を通すのでフラッシングや音の効果のある通常のペラのものを使いましょう。
―― 今、野尻湖の名前も出てきましたが、この釣りはスモールマウスにも有効なんですか?
(敬)むしろスモールの方が釣り易いくらい。ラージに比べるとスモールは長い距離追ってきてくれるし、縦に急浮上してベイトを食べるのも得意です。多少レンジコントロールに失敗していてもスモールはガンガン食って来ますね。
スモールの釣りって小さいワームを使ったダウンショットとかのイメージが強いですけれど、効率よく広範囲を探って一番釣れるのはプロップベイトだと思います。
■まとめ ■
『教えて敬太郎さん!ステルスペッパーの使い方!』いかがでしたでしょうか? 主に河口湖を例にご説明いただきましたが、夏場、クリアな山上湖でシャローに魚の気配が無い時にはキャロのステルスペッパーが活躍してくれそうですね!
皆さんもこの夏のタックルボックスにステルスペッパーを忍ばせてみてはいかがでしょうか。筆者は今回のインタビューを期に大人買いを検討中です。(笑)
※ TIEMCO公式HPはこちら>> http://www.tiemco.co.jp/