特集 植付友二 夏・前編

植付友二のバスボート、レンジャー

 

夢の琵琶湖遠征

「ゴーマル5匹と、ロクマル1匹ならどっちがいいかナ~?」
2017年7月。東京から470キロの道のり。琵琶湖を目指す車中での会話です。
期待だけが、ゴムまりの様に大きく大きく膨らんで、世界記録が出そうになります。

でも、ホントに世界記録が出たのは、ゴムまりではなくて、バスのほう。
琵琶湖は、間違いなく世界的、第一級レイク。
目的地が近づくにつれ、期待だけはイヤでも高まってゆくのです。

今回、初めての琵琶湖釣行にあわせてフィッシングガイドを依頼したのは、B.U.G.S.琵琶湖うえんつガイドサービスの、“うえんつ”こと、植付友二(うえつけゆうじ)さん。

昨年度SFGJ2016で、琵琶湖エリアのベストガイド賞に輝く、ルアーライフ編集部が絶対の信頼を寄せる名ガイドさんです。
この時もまさに同大会に参戦中だったのはもちろんのこと、ナント、今年はスーパーフィッシングガイド賞を狙っての優勝宣言中でもありました。

ガイドが、ゲスト(お客さん)に釣らせるための腕前を競いあおうというこの大会。
主催側の僕らが、これからこの琵琶湖で、ロクマルを山ほど、これでもか!って位、鬼の様に釣りまくってしまっても、まぁ、この大会での公式カウントという訳にはいきませんが・・。

レンジャーZ20

朝6時にボートハウスラッシュで待ち合わせて、うえんつさんのバスボートに乗り込み、湖上に出てみて驚いた。
日本全国からデカバス狙いの猛者たちがぞくぞくと集結していた。
早朝、まだ静かだった湖畔にも、日が昇るにつれ、子供からお年寄りまで、釣り竿片手に、こちらもぞくぞくと。

「土曜日ですしね〜、とりあえず頑張る覚悟だけは、しておいてください。」
えッ!覚悟!?
事前の電話打ち合わせでは舞い上がっていたものだから、当然耳に入って来るハズもなかった、うえんつさんのそんな言葉が、今になって頭の中を過り始めている訳です・・

 

いざ、実釣へ!

オオカナダ藻、コカナダ藻、クロ藻、エビ藻、など、琵琶湖はウィード(水生植物)の宝庫。
(ヒシ藻など、葉が水面に浮く浮葉植物群に水面がびっしりと覆われるエリアもある。)

やはり、他の湖と決定的に異なるのが、このウィードの豊富さだろう。
夏の太陽の光を浴びて、湖底からぐんぐんと背を伸ばす植物たちも、今のところ、所々でツンツンと水面に顔を覗かせる程度だが、水面下は、文字通りの『 藻床 』となっている。

魚探でポイントをチェック

だから、『バス釣り』という目線で見た場合にも、基本、他のレイクとはかなり要領が異なってくる。
そして、これらのウィード郡が、その地形とあいまって、どの様な状態を成しているかが、ポイントとしての優劣を分けることとなり、当然ながら、良いウィード郡には、多くの バスがストックされていたり、多くのバスが、回遊して来たり、ということになる。

どこにでもデカバスがいて、どこででも簡単に釣れる。
というのは、つまり、ゴムまり、妄想きわまり、ない・・という、「まり」3つ。
この広大な琵琶湖にあって、ポイントは限られる。ということ。

但し、良いポイントを見つけるのは簡単だ。
周囲を眺めて、多くのバスボートが集結しているエリアに行けば良い・・

ちょっと待ってくれ!
それじゃあ、いくら良いポイントだって、スレてくるのは時間の問題じゃないか!

 

ガイドの腕のみせどころ

琵琶湖のバスフィッシングガイド

ガイドは、ベストなポイントを知っている。
毎年の経験と季節感、実釣を通して探り続け、とうとう、今、釣るべきマイ・ポイントを確立する。
フィッシングガイドは、職業だ。遊びではない。
だから、本当は知られたくない。ポイントは、プロの誇りにかけて、ゲスト(お客さん)の為だけに、常に必死で探し続けている。

うえんつさんの愛艇、Ranger(レンジャー)Z20を含め、今、この場にひしめくバスボートに、何割くらいのプロガイドが含まれているのだろうか・・
おそらく、そう多くはないだろう。

琶湖の夏の休日フィッシング

我らがうえんつ艇は、風に船を流しつつ、エレキで方向を修正しつつ、多くのボートと絶妙な間合いを保ちながら、極力、フィッシングプレッシャーが軽減できる立ち位置を探り、細心の注意をはらいながら移動していく。
バスからのコンタクトの確率を極限まで高めようとしている。

ところで、ガイドには、それぞれ自分の得意とするフィッシングスタイルや、推奨したいと思っているフィッシングスタイルがあるものだ。
ある者は、クランクベイトや、チャターベイトを巻き、また、ある者は、ビッグベイトを投げる。トップを楽しむこともある。

この時期、水中はウィードだらけだから、その上にある水面までのオープンなエリアを狙うとすれば、トップやシャロークランク、ワイヤーベイトなんかもいいカナ。
なんて思うのだけれど、うえんつさんの場合は、ワーム。
基本スタイルは、テキサスやノーシンカーなどのワームの釣りだ。

もちろん、状況に応じて釣りかたを変えていくことは当然あるし、場慣れしたゲストに対しては、ハードルアーの釣りなど、そのリクエストにも応じるが、僕らの様な琵琶湖初心者であれば、やはりワームだという。
ここでも、アングラーのスキルを勘案し、バスからのコンタクトの確率を極限まで高めようとする。

バスボートとタックル

普段の僕はというと、トップウォーター 一辺倒だから、持ち込んだロッドは、全て却下。
この日のコンディションであれば、出番はないということで、うえんつさんのタックルをお借りすることに。

で、テキサスやノーシンカーの釣りです。
ラインの送り込み方から、アクションの付け方、アタリの待ち方まで、実際の釣り方にも、かなり丁寧かつ厳しい指導があったりもして、ここでも、バスからのコンタクトの確率を極限まで高めようとする。

要するに、現実は、そう甘くない。
これだけ勝手に集まってしまうボート群。
誰にでも簡単にデカバスが釣れるなら、ガイドはいらない訳であります。

 

苦戦

ドピーカンと無風。後から風は出てきたものの、コンディションは厳しかった。
数日前の台風で、まとまった雨が降ったのでは?なんて考えてはいたものの、どうやらバスの活性を上げたのは、その直後だけだったようだ。

デカバスの聖地、琵琶湖

で、
「誰にでも簡単にデカバスが釣れるなら、ガイドはいらない訳であります。」
なんて言い出す奴(僕?)が、いてもいなくても、うえんつさんは、額に汗して頑張ってくれる訳であります。

さて、ここで少し、具体的な釣りのお話。
ウィードジャングルの中にウキ止めゴムも使用しないテキサスリグのワームを放り込もうっていうのだから、それを聞かされて僕の頭の中は、いきなり??マークだらけでした。
フィッシングスタート直後、まずは、うえんつさんからのレクチャーと同時に、実際に1匹釣って見せて頂きます。

植付友二と琵琶湖のバス

ホント、いとも簡単に釣ってしまう訳です。48センチでした。

ウィードの途中で引っかかるワームをシェイクで振りほどきながら、そして、ウィードによる抵抗なのか、バスのアタリなのかを判断しながらの釣り。
そんな感じでしょうか。

僕らはというと(あっ、ルアーライフ・チームは2名で乗船です!)、「えッ、やっぱ頑張る覚悟がないとダメなの?」って感じで、結構一生懸命やっていますが30センチ台の釣果が4本。大物はいっこうに釣れません。
はたして大丈夫でしょうか・・?

この時はまだ、『ブリブリ』の出現など、全く予想できていませんでした。

後編へ続く!>>

(ア)

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