特集赤松美陽第3部

ガイド魂に迫る

赤松美陽が自らの仕事場である徳島県は旧吉野川から、例年、驚異的な釣果を叩き出しているのは既にご報告の通り。
巷では、デス・リバーなどと囁かれるこの川で、それも、自らが釣るのではなく、日々、スキルの異なる多くのお客さんを迎え、そして、釣っていただこうというのだから、「如何にして、そのような芸当が？」と、興味は尽きない。

氏のフィッシングガイドを経験した者だけが、直接肌に触れることで知り得る現場の空気感とは、いったい、どのようなものであろうか？
大会に投稿される釣果写真の、印象的で生き生きとしたアングラーの笑顔を見れば、それがスパルタ・ガイドによる、フィッシングマシンの如く厳しく激しいキャスティングの繰り返しを強いらたことによるものではないことだけは、間違いのないことだとわかる。

3回に渡ってお伝えしている、『特集赤松美陽』。
最終回の第3部では、編集部が『旧吉のカリスマ・バスフィッシングガイド』、『たかさん』へ、兼ねてからの疑問をぶつけてみた。

旧吉なう！のたかさんガイド

編集部：
たかさん、スーパーフィッシングガイド賞、それも2連覇！おめでとうございます！

たかさん：
ありがとございます。
でも、バスを釣って、大会にその釣果を投稿してくれたのはゲストの皆さん（お客さん）です。
遊びに来てくれて、応援してくれて。
本当にありがたいことです。みんなのおかげです。

編集部：
確かにそうですね。
バス釣りの楽しさを、旧吉野川の素晴らしさを、多くの人に知ってもらいたい。
そんな思いをたかさんと共有して、協力していただける。って、ことですよね。
スゴイことだと思います。

そして、もう一つ、皆さんが、「たかさんを優勝に導きたい！」と、願っている。
そうも感じます。

編集部：
ズバリ、カリスマガイドと呼ばれる所以、多くのお客さんが虜になってしまうかの如くひきつけられる、『たかさんガイド』の魅力って、いったい何でしょう？

たかさん：
僕、ルアーライフさんの自己紹介ページの中で、『三度の飯より釣りが好き。』って書かせてもらっているじゃないですか。
これ、大袈裟じゃないんです。ホントのことなんですヨ！
もし、『バス釣り大好きコンテスト』があったら、そっちでも優勝できてしまうんじゃないですかね。（笑）
僕、ブラックバスのカッコ良さにも憑りつかれてしまっていますし。

フロッグ丸呑みのブラックバス

だから、本当のバス釣りの魅力を伝えきる！
伝えきりたいんです。
バス釣りって、面白いんですから！こんな面白い遊びは他にないです。

気付いた人は、皆、ひきつけられてしまいますよね。
だから、『たかさんガイド』の魅力というより、本当は、バス釣りそのものの魅力なんですヨ！
そこのところをキチンと伝えるのが、僕の仕事。ですかね。
旧吉は、バス釣りの楽しみのエッセンスが全部詰まった、とてもいい川です。

編集部：
いいですね～！
既にバス釣りにハマっている人でも、新たな魅力を再発見できてしまいそうな感じです。

旧吉、たかさんのバスボートデッキ

編集部：
ところで、秘密の『手の内』のようなものとか、
「この事に気づいているアングラーは、プロを含めて、あまりいないだろうナ。」と、人には話さないけれど、実は密かに思っていることとかってありますか？

たかさん：
正解かどうかは別として、感じていることは色々ありますね。
でも、それを秘密にするということはないですかね。さっき、「伝えきる！」って言ったでしょ。（笑）
と言うか、実は秘密にできるような、理屈っぽいことでもないんですけどね。
もっと感覚的なところと言うか、何となくわかる様になると言うか、そんなものを感じとれる様になれたらいいですよね。

だから、一言に「伝える！」って言っても、そんな感覚をお客さんと共有できるチャンスというか、タイミングというか、そういう話になると、これは難しいナ～って思いますね。
そういう瞬間が訪れたときほど、ガイドをやってて良かったな～っとは思いますけど。

でも、例えば初めてロッドを握るお客さんには、もっと他に伝えたいことがありますし、僕が、ゲストのみんなから教わることだって、たくさんある。

編集部：
頭で考える釣りも、とても面白味があると思いますが、そういう野生的な部分に磨きがかかると、もう、ほとんど本能！と言うか、確かに『三度の飯より・・』となるのかもしれませんね。（笑）

赤松美陽の夏

編集部：
今、初めてロッドを握るお客さんのお話がありました。
絶対、釣れないと喜んでもらえないということもないでしょうが、やはり、釣れないよりは、釣れたほうが嬉しいですよね。
先程の『野生』の話とはかなり程遠くなってしまいますが、例えばですが、以前に釣ったバスを集中的にリリースするなどして、バスの密度の高いポイントとかをあらかじめ用意しておくとか、何らか、『保険』のような工夫をすることはありますか？

たかさん：
すれば、楽ができますかね～（笑）
でも、それをやったら、ガイドの命はないと思っています。
絶対にバス釣り本来の魅力は伝えられないし、ゲストにもバスにも失礼ですよね。
どうしても釣りたい時は、金魚釣り堀とかで楽しんでほしいです。
あっ、釣り堀が悪いという話ではないですよ（笑）、釣り堀には釣り堀の楽しさがありますから。

実際、旧吉は、釣れないっ！って、言われてますでしょ。
みんなが、デスリバー、デスリバーって。　でも、そんなこともないんです。

バスの密度の高いポイントっていうか、釣れる可能性の高いポイントっていうか、それって、ありますよね。別に人為的に作られたポイントでなくっても。

釣れる時は釣れる。釣れないときは釣れない。
自然の川だから、当然それはあるけれど、僕もこれ一本でやっているガイドですからね。
常日頃から色々なところで、色々なバスへのアプローチを試しています。
もちろん、お客さんの予約が入らない日であっても、釣りに出ます。
そうやって、現状のバスのコンディションや、付き場、季節感、アプローチ方法なんかをチェックするんです。

今回のテーマって、『ガイド魂』でしたっけ？
今の話って、チョットそれっぽかったですかね。（笑）
でも、本当は、楽しいからやっているだけだったりして。（笑）

赤松美陽の愛艇

『魚がスレているから、難しい技がこなせる人じゃないと、釣れない。』という訳でもなくって、なんて言うのかナ、『やってはいけないことは、やってはいけない。』それくらいのところをキチンと押さえてもらえさえすれば、ビギナーにだって、ちゃんと応えてくれるバスはたくさんいるんです。

あっ、例えば、ルアーのプレゼンテーションって、どこに投げるかはもちろんですけど、アプローチの方向っていうか、角度って言うか、そういうのもすごく大事なんです。
川のバスって、そういうところが余計にシビアだったりするのかもしれませんね。
だから、そういう感じの指示だけは、僕、結構キッチリと出すんですヨ！（笑）
初心者の人って、すごく素直だから、僕の言うことをキチンとやってくれようとする気持ちが強いです。
で、ちゃんと釣る。（笑）

編集部：
なるほど、ためになりそうですね。　最初のうちから、そういう感覚をもった釣りをしていたら、確かにそれは、奥深く感じることでしょうね。

旧吉野川のバス釣り

編集部：
多くのお客さんを旧吉野川にご案内する訳ですよね。
スレさせないためのポイントのローテーションとかはあるのでしょうか？

たかさん：
それは、もちろんあります。
例えば、前日にデカいのを取り逃がして悔しい思いをしていたら、翌日であってもリベンジに向かうと思います。
でも、キッチリと結果を出せたポイントなら、本当は少し休ませてあげたい。
ただ、ある意味、そのポイントは、さっきの話で言えば『保険』になり得るポイントです。
アジャストできるポイントだから、まだ釣れる可能性があります。

編集部：
バス自体の数はあまり多くはないのでしょうか？

たかさん：
魚は多いですよ。
今回の大会（SFGJ）では、キーパーサイズが40センチだったから、それ以下の釣果投稿は当然ながらない訳で、サイズのいいバスをうまく狙って獲るイメージがあるかもしれませんけど、チビも普通に釣れますし。
やっぱ、チビが釣れてくれないと翌年が心配になってしまいますね。

▲　ちびバスがいてくれてこそのランカー

▲　落ちアユの群れ

編集部：
『たかさんガイド』のリピーターさんは、皆さんカナリ釣られますよね。
スゴイ腕前になられていると感じます。
アングラーとしての独り立ちと言うか、たかさんガイド卒業の時は、どのゲストさんにもいつの日か訪れるのでしょうか？

たかさん：
卒業ですか？　チョット違う感じかな～！そんなん、おこがましくって。
実は、常連さんに限って言えば、僕は魚のいるところへ案内はするけれど、釣り方を指導することは、もうほとんどないんです。

僕、バス釣りの魅力を伝えて来たつもりで、もしかすると、旧吉の魅力を伝えたいのかな～なんて思う時があります。
常連さんもみんな旧吉が大好きなことに違いはなくって、中には、旧吉以外ではバス釣りをしないという人までいらっしゃいます。

くりかえしになるけれど、旧吉野川や、その分流の今切川は、バス釣りの楽しみのエッセンスが全部詰まっていると言えるほど、多彩な魅力を持っている素晴らしいフィールドなんです。
楽しいし、奥が深い。
だから、少なくとも僕自身、旧吉野川を卒業することは、この先ずっと、ない。
というか、できない。
きっと、常連さんも同じじゃないのかな。

旧吉トップウォーター