2015の初ナマズは多摩川[鯰釣りの作法vol.13]

鯰の作法

■荒川を巡る

秋から始めた新規ポイント開拓で、最も多く通ったのが荒川だった。秋ヶ瀬堰よりも下流エリアを主に、本川及びその流入河川など、広く調査していた。

季節が進むにつれ、護岸に蔓延る様々な植物は枯れてゆき、これまでは立ち入ることのできなかったいくつもの「あの奥」へ足を踏み入れる事ができた。未開の地を目にすることは驚きも落胆も半々なのであるが、落胆したポイントはオンシーズンで気になる必要がなくなるため、この時期に知っておくことがオンシーズンの釣行時間を有効に使うことができる。

onsui

荒川で最も有名なポイント「温泉」真冬でも常時水温は高く、一ケタになることはない。コイ、ヘラ、ニゴイ、ハクレン、ボラが高密度に存在している。夏から秋ではシーバスも入ってくることから、夜になると一晩中水面が騒がしい。

onnsennpoint

この「温泉」には多くのアングラーがテトラの穴撃ちで、ラージやスモールを狙っている。ちなみにこの「温泉」には、ある怪魚が住み着いている。無責任な人が遺棄した「アリゲーターガー」だ。温排水の暖かさとイナッコ等のベイトフィッシュが豊富にあることからここから離れないのだろう。

3月上旬、このポイントで今年初めて本格的にナマズを狙ってみた。水温が高くベイトフィッシュも豊富なエリアであれば、冬季や早春であってもナマズが多く存在しているのではないかと、安易な予測をしていた。しかし、そもそも水深が深い川であるため、基本的に底に着いているナマズを探し出すのは困難を極めた。オンシーズンであれば水深のあるエリアでも、水面までベイトを追いやって捕食するのであるが、やはり季節がまだ早く、バイトすら得られなかった。

■荒川の支流へ

suiro

荒川本流を諦め、小河川や水路を目指した。荒川と比較すれば明らかに水深は浅く、ナマズと出会う確率は高くなる。その反面、河川によっては水温が一ケタ代の場合もあり、なかなか容易にはいかない。

baike

荒川をはじめとして、支流や周辺の河川は投棄されたバイクがとても多い。昼間にこれを確認しておかないとナイトゲームでルアーをロストしてしまう。フィールドというのは、河川やエリア毎に異なった特徴を持っていることを把握しておくことが必須であり、それが釣果にもつながる。ちなみに、投棄されたバイクは見た目こそ悪いが、昼間にナマズが身を寄せるストラクチャーでもある。

■バリ子との出会い

nukeaana

別の小河川にエントリーする際、トトロが通るようなトンネルを通る。屈みながらトンネルを抜けると、このポイントに住む主がいつものようにたたずんでいた。

tori

この鳥は「バリケン」といい、カモの仲間だ。かつては食用として輸入されたのであるが、日本では普及しなかった。そのため、飼育小屋から逃げ出したり、放鳥した個体が自然繁殖したようである。警戒心が弱く人間を怖がらない。ちなみにこの子は雌である。

名前は勝手に「バリ子」と名付けてある。この子とは出会ってちょうど一年になる。はじめてこの川に訪れた時に出会った。最初は僕が話しかけても無視を決めていたが、だんだんと仲良くなっていった。

bariko

今ではすっかり仲良くなり、「バリ子~来たよー!」と声をかけると、水上で浮いている彼女は僕の所まで来てくれるようになった。水辺というのは魚に限らず、様々な動物が好きな場所であり、自分にとってのパワースポットでもある。

「夜中からやったけど、この辺のナマズは難しいね。」とそんな話をバリ子とした後、午後は多摩川へ向かった。

■ついに2015初ナマズ 多摩川にて

夕方の多摩川中流域に着くと、空はどんよりと厚い雲に覆われていて、今にも雨が降りそうな感じだった。

tamagawa

トップで釣りたいのはもちろんであるが、それよりも確実なビッグフィッシュを一本獲りたい。選んだタックルはTULALAのAventura59に、ボーマーロングAサスペンド。これを、ショートジャークで、川底に当たるか当たらないかのレンジ探っていく。ポイントは急深が近くにあるシャローフラットエリアだ。昼間に急深で寝て、夕方餌を求めてシャローに上がってくる個体を狙う。これは、ナマズに限らず全てのフィッシュイーターの典型的なパターンではないだろうか。そして、ついに・・・・

2015hatu

岸沿い、少し沖、沖と三方向ずつにキャスト&ショートジャークをしながら進んでいく、約100m程度進んだところで、ジャークの終わりにロッドが持っていかれた。あまりにもアクティブにファイトするので、スモールマウスバスかと思ったが、グネングネンと蠢く姿が徐々に見えてきた。ランディングの時に泥だらけになってしまい、タオルできれいに泥を拭う。

doya

70cmこそないが、今年の初ナマズは良いファイトをしてくれた。

ナマズを写真に収めて、もう一本を狙おうと再びロングAを投げると、既に空は暗くなり始めていた。ふと、視界に小さな黒い点がランダムに飛び交っている。コウモリが2羽飛んでいた。昼間の暖かさで目を覚ましたのか。以前、コウモリとナマズの関係を書いたが、やはり二つはリンクしているようだ

 

 

この記事の著者

アバター画像

水面屋(みなもや)鯰釣り師

首都圏在住。小学校低学年からバス釣りを始める。高校入学と同時にロッドをギターに持ち変え、釣りから暫く離れる。男三十路にして鯰くんに男惚れ。現在はツララでビッグベイトを振り回し、メーターマナマズとロクマルバスを追う日々。

この著者の最新の記事

関連記事

ページ上部へ戻る