- 2015-8-27
- ナマズ
季節は、命の危険を感じるような暑さは落ち着き、マズメ時には涼しさを覚えるころ。それでも頻繁に移動を繰り返し、ポイントを探索すると、額に汗をかく。朝焼けでも夕焼けでも、空にはコウモリが乱舞しており、まだまだ夏なんだなと実感する。
河川のタイダル域には巨ナマズがいるのではないか?
そんな思いつきで始めた荒川タイダルエリア巨ナマズ釣査(調査)であるが、中間報告をしたいと思う。
まず、なぜタイダル域に巨ナマズがいるのでは?と思った理由は、ズバリ「エサが豊富で温暖であるから」である。イナッコから甲殻類までエサは豊富かつ多種であり、また河川の特徴として下流へ向かうほど水温が暖かい、これはナマズの成育環境として好環境であり巨大化しているのではないかと考えたからだ。
現時点での結論からすれば「成育環境にあっては劣勢であり、巨大化し難い」と言えそうだ。その理由を、思いつくままに列挙してみると、次のとおり。
- 釣果や目視から40cmから50cmクラスが多く、70cm以上の個体が見られない。
- プレデターとして最も優位にあるのが時期にもよるがシーバスである。
- プレデター達のメインベイトはイナッコ、ボラである。
- メインベイトを捕食するのには遊泳能力に長けているシーバスやバスが圧倒的に優勢である。
- 水深が深く、タイダルにより水位が安定しない環境下においては、通常ボトムに身を置くナマズにとって好環境とは言い難い。
- ナマズが護岸際で捕食をしているベイトはイナッコよりも小さな稚魚であることがイナッコやボラを捕食するシーバスと比較すると摂取している栄養価は低いと考えられる。
- 極端なシャローが少なく、急深の護岸やテトラポッドの護岸が多い。このためナマズは垂直の護岸と水面を壁にしてベイトを追い詰めて、限られた時間で捕食を行い、それを終了するとひとまずボトムへ引き返す。これを一晩で数回繰り返す。シーバスがイナッコ等をチェイスやバイトする行動が沖や岸際など様々であるのに対し、ナマズの場合はシーバスまでの遊泳能力に長けていないため、既出したように必ず護岸と水面を壁にして捕食するので、捕食行動は岸際に限定される。ただし、大潮で大幅に水位が下がった場合はシャローが現れるためこの限りではない。
まとめると、当初は、ベイトの種類や量が多く、また中下流域は温暖であることからナマズの成育環境としては最適と思えた。しかし、タイダルにより水位が安定しないことは、シーバス等と比較して遊泳能力に限りのあるナマズにとって捕食行動の妨げとなり、恒常的に不安定な栄養摂取の状態であるめ、タイダイル域のナマズは巨大化し難いと推測する。
この中間報告からは、ナマズの最適な成育環境とは、河川中流域やその支流、用水路、水田のホソ、と水深が浅くエサが自分のすぐそばを通るような環境がベストだということを示しているのではないだろうか。メーターナマズが保護された岐阜県の真桑用水や、80cmオーバーが上がっている多摩川中流域がそれを証明しているのかもしれない。
引き続き、釣査(調査)を続けたい。
(minamoya)