- 2015-12-4
- 各種リグ(バス釣り仕掛け)
ムシワーム
9回にわたり、ビギナーを対象に連載してきた当企画も今回で最後。
現代のバスフィッシングで使用されるワームのリグの基本について書いてきましたが、最後はムシルアーについて。
ワームのリグに当てはめるならばノーシンカーに分類されますが、ムシルアーはひとつのジャンルとして確立されていることもあり、ひとつの章として紹介したいと思います。
ムシルアーとはその名のとおりムシをイミテートしたルアーです。
ムシルアーの中にはハードベイトタイプもありますが大半がソフトボディといっていいでしょう。
しかもそのほとんどがワーム素材、あるいはエラストマーといわれる樹脂製品です。
それにシリコン製のスカートを足に見立てて結合されていたり、ワーム素材ならば足そのものが一体成型されていたりもします。
いずれにおいても共通するのはフローティング、つまりトップウォーターであることです。
ハードベイトにはないソフトな着水音と水中のバスから見たシルエット、さらには水面で発生する細かい波紋がムシワームの特徴であり釣れる要素なのです。
ところでムシワームで釣ったことのないアングラーは『バスってムシを食べるの?』という疑問を抱くでしょう。
実際のところバスはムシを捕食します。
とくに、小魚やエビといった水中生物が少ない野池では水面に落ちるトンボや節足動物を捕食することも珍しくありません。
また、長野県の野尻湖や福島県の桧原湖のスモールマウスは、季節によっては、容易に捕食できる蛾やセミを捕食するシーンに遭遇します。
では、小魚やエビが多いフィールドでムシワームが釣れないのかというと、答えはNOです。
たとえムシを頻繁に捕食していないフィールドであってもムシワームは非常に有効なルアーです。
とくにバスが水面付近にサスペンドする初夏~秋にかけては超がつくほど効果的です。
その理由として考えられるのは、極めてナチュラルな小さいシルエットの固体であり、かつ狭小範囲で波紋を出して誘えること。
この微波動にバスが興味を示し半信半疑でチュポっと吸い込むのです。
操作のコツはムシワームを動かすのではなく、ラインを振るわせるようにすることです。
ロッドをシェイクしてムシワームから波紋を出そうとすると、どうしてもラインが張りすぎてしまいムシが手前に動きすぎてしまいます。
上手にムシワームから波紋を出すためには、ラインをやや緩めに保ち、そのラインを細かくシェイクしてやることで、波紋を出すことができます。
ムシワームの出しどころとしてはオーバーハングの下がもっとも一般的ですが、じつは見えバスに効果的なのです。
バスの目の前というよりは1~3mほど離れた、バスの視覚に入るかはいらないかギリギリのスポットにキャストして波紋で誘うと躊躇なく食ってくることも珍しくありません。
キャストに自信があるならばラインを木の枝に引っ掛けて、ムシワームを水面にチョンチョン垂らす方法も効果的です。
上からつるすことから、この釣法をちょうちん釣りといいます。
ムシワームに限らず、バスの目線が上を意識しているときに有効なので、ぜひマスターしておきたいワームフィッシングのテクニックです。
ラインはPEが有利
ムシワームは非常に軽量なためキャストがしづらいのが短所です。
ゆえに、タックルはスピニングにライトラインとなります。
ライトリグに使っているセットを流用することも可能ですが、本格的にムシワームを使いこなすならば断然細めのPEラインをオススメします。
PEを使うことで格段に飛距離が伸びるだけでなく、ライン自体が浮かぶ(なかには沈むPEもあります)ので操作性もアップします。
さらに、同じ太さのフロロカーボンやナイロンよりも圧倒的な強度を誇るので、よほどのことがない限り切れる心配もありません。
とはいえPEにも弱点はあります。
最大の敵は風です。ラインが軽量ゆえに風が吹いているとコントロールが困難になります。もっとも水面が波立つような強風時には、ムシルアーの存在もかき消されてしまうため威力は半減してしまうので、そんな時は沈むルアーを選択するほうがいいでしょう。
キャストアウェイPE(サンライン)は、もともとソルトウォーターのシーバスやエギングのキャスティング用ですが、バスフィッシングにも最適です。
ムシワームなら0.6~0.8号を選ぶといいでしょう。
リーダーの装着は自由ですが、直結でもさほど問題ありません。
フックのセット
前述したようにムシワームの中にはワーム素材とエラストマー素材に二分されます。
いずれもソフトな材質なので一般的なワームフックを使用することができます。
フック選びで大事なのは、ムシワームの浮力を生かすためにオーバーサイズを避けることです。
一般的にはマスバリタイプにちょん掛けですが、ワームの種類やカバーの濃度によってはオフセットタイプのフックをセットすることも可能です。
また、オリカネムシ(O.S.P)のようにフローティングヘッドがプリセットされているムシワームもあります。
いずれにせよ大事なことは、常にムシを水面に浮かせられるラインとフックを選ぶことです。
エアバッグシリーズ(フィッシュアロー)の特徴はボディが中空成形で、ワーム自体が浮くことです。
写真のバグは口部がカップ状になっているため、移動距離を抑えると同時に水しぶきを飛ばすことも可能です。ボディが大きく浮力が高いので、オフセットフック(写真は#2)をセットしてフローティングカバーの上で誘ってもおもしろいですね。
エアバッグシリーズはバグ以外のラインナップが豊富なので、選択肢が多いのもうれしい限りです。
こちらは活虫(ジャッカル)と書いてイケチュウと読みます。
エラストマー素材で絶妙な浮力を誇ります。
足をモチーフに、中空のスカートが付いているので、艶かしい波紋も魅力的です。
こちらはボディが小さめなのでマスバリ(写真は#4)がベターです。
障害物が少ないならガードをカットするか、ガードなしのマスバリをちょん掛けにします。
特殊素材なので保管の際は個々に分けておくようにしましょう。
プロスタッフの折金一樹氏が浮き方から足の動きまでを徹底的にこだわったオリカネムシ(O.S.P)は、下向きのフックにガードが二本装着されたフローティングヘッドがプリセットされています。
ワームの足が切れたりボディが裂けたら、新しいボディに交換することもできます。
上の写真はボディとヘッドをバラバラにしたもので、セットしたのが一番上の写真です。
ガードがしっかりしているのでミスキャストによる根がかりのリスクが少ないのもオリカネムシのいいところです。
トッパー君の独り言
虫型のワームでトップウォーター。
6~8番くらいのロッドにポッパーという、フライフッシングのスタイルにも通じるものがある感じです。
フライにしてもルアーにしても、ハマると爆釣ということが十分にあり得る釣り方だと思います。
確かにチュポっと吸い込む感じのバイトが多くなるものの、それでも水面でのバイトシーンが目視できるというのは、とても楽しいです。
というより、この釣りでは ” チュポ ” のほうが、「デカバスなのでは?」などと期待して、かえって心臓がバクバクしてしまったり。
そして軽いとはいえルアーなら、エキスパート・フライマンしかキャストできないような込み入ったスポットでも比較的キャストは楽だったり、ランディングがしやすかったりするケースも多いように思います。
ところで、最近あまり見かけなくなった気がしますが、フライサイズキャスターとかABUフロートとか、いわば飛ばしウキみたいなヤツ、わかりますか?
ルアータックルを使用して、ラインにコイツをつけて、その先にまたラインがあって、一番先端には、そう、フライであります。
積極的にフライにアクションを加えようとすると、ピクピクと水面に波紋を発生させる。
フライではなく、ウキのほうが!
で、コイツめがけてバスが強烈にアタックしてきたりして。
これ、すごくビビるんです。
反射的に大きなアワセを入れてしまったりします。。
で、「オオっ、喰ったぁ~」なんて、つい声がでて、かなりドキドキしてるんです。
バカでしょ?
って、何の話でしたっけ?
トップは楽し。虫ワーム、楽し!
カナリ強引なしめくくりとなりました。。
(汗)。
プロローグに始まり、本編は9回にわたって大場未知さんにお願いしてまいりましたリグ講座。
大変ご好評をいただきました。
自分もとても楽しかったです。
是非、また記事をお願いしたいナと思っています。
text by トッパー