- 2014-12-26
- ブラックバス注目記事
- SFGJ
帝王・遠賀の河猿、近藤健太郎 編
冬の亀山に開花する、トップバサーのコンセントレーション
「ヤバイ。。」
この日、最初で最後、近藤健太郎が、ただ一度だけ口にした弱気とも取れる一言が発せられたのは、意外にもフィッシングスタートから、まださほど時間も経過していない7:50のこと。
6:45のスタートから、少しでも可能性を高める為にシャッドのキャストを繰り返してはいたものの、ここ本湖、トキタボート前のディープエリアに到着するまで、常にもどかしさを感じつつも、エレキのスロットルは全開で踏み続けて来た。
もし、ここ亀山ダムが、船外機の使用を許されるレイクであったなら、それこそ、すぐにでも辿り着きたかった、まぎれもなく、この日一番の大本命ポイント。
それを外した。。?
▲ 進行方向にシャッドをキャストしながらも、目的のエリアへと急ぐ
いきなりピンチ!?
本当に外したのか。。?
本命とされるこのポイントに到着してから、きっとまだ、20分と経過してはいないだろう。
ノーバイトとはいえ、さすがに見切るには早すぎないか。。?
でも、近藤健太郎は気付いたのだ。ヤバイ。。
昨日のプラでは、ここで1本獲っている。それにバイトだけなら、数度はあった。
魚深で、水深9メートルから11メートルのボトムに映るバスの魚影をチェックしながら、今シェイクしているダウンショットリグを巧みな操船で、その位置へと導いていく。
この作戦、バスがディープに固まり始めていないと厳しい。
昨日のプラでも、イマイチ魚は散っていて、冬モードになり切っていないことは分かっていた。
ただ、厳しいけれど、それでもメインに据えるべき作戦は、これしかない。
経験上、水面に立ち込めるモヤが、正解がディープにあることを教えている。
ただ、『厳しい』と、『ヤバイ』は、やっぱり別だろう。
できることなら、キーパー3本、9:00までに揃えて、早めに勝負を決したかった。
それを過ぎたら、時間とともにボトムのバスは更に散って、勝利の確率が下がる。
相手はシャローのデカバス狙いに決まっているから、一発出されれば、それで決まってしまう展開もあり得るのだ。
▲ 信頼のHPシャッドテールを投入するも。。
手数勝負!ディープに徹し、数で勝つ!
残念ながら、今日という1日が、そうそう簡単に勝利させてもらえる展開ではなくなったことは事実。それをいち早く察知した近藤であった。
とは言え、何もこのエリアだけに全てを賭けて勝負に臨んだ訳でもない。
苦しい展開だって、当然のことながら想定はしているのだ。
チャーリー近藤(ここからは、皆さんお馴染みのお名前で!)の釣りは、まるで数学の様だ。
刻々と変化する状況に応じて、新たな可能性とその確率を常に推し量っているかのような釣り。
そして、その可能性を、更に高めることができるよう、それだけの勉強と準備も怠らずにこの亀山に挑んでいる。
どの道、ディープ狙いより高確率な戦術はない。そう考えているのは確か。
ただし、そのアプローチ方法は実に多彩だ。
ダウンショットのシェイクが基本だけれど、スモラバのズル引きに変えてみたり、ワームの色味も変えて試す。
メタルバイブレーションでのシューティングもすれば、バンク際ではドライブシャッドのノーシンカーなどが登場したりもする。
サーチで使うシャッドもシカリ。
今のコンディションというものを常に意識して、ベストであろうポイントを選び、手数と正確さで確率を高める。
事前に仕入れた情報だって、必ず試していく。
その結果、ベストのスコアが導き出される。ただそれだけのこと。
きっと、そんな感じ。
よく集中力が途切れないモノだと感心してしまう。。
可能性を高める、タックルバリエーション
▲ 圧巻の最強タックル
出番がなかったものも含め、当日ボートに積んだ10本は以下の通り。
攻略のメインに据えているのは、HPシャッドテール(ブラック・ブルーフレーク)のダウンショット。
- <ルアー>
- HPシャッドテール、シンクロ+ドライブシュリンプ3in、ドライブシャッド、ドライブクローラー4.5in、オーバーライド(全てOSP)、ロッドマンオリジナルシャッド(プロト)
- <ロッド+リール+ライン>
-
・グレイゴースト+イグジスト2004+レッドスプール3lb(HPシャッドテール 2.6gダウンショット用)
・スカイフラッシュ+スティーズ2004+3lb 2セット(HPシャッドテール 1.3gダウンショット用 & シンクロ+ドライブシュリンプ3in用)
・ブリッツ+スティーズ+10lb(オーバーライド用)
・ロッドマンオリジナル・MONOHOSHIZAO S-72ML+スティーズ2506(HPシャッドテール 3.5g ライトキャロ用)
・ロッドマンオリジナル・MONOHOSHIZAO S-72ML+イグニスTipe-R+4lb(ロッドマンオリジナル・シャッド用)
・ロッドマンオリジナル・ベイトフィネス用(プロト)+T3 AIR+7lb(ドライブクローラー4.5in ネコ用)
・ハリアー+スティーズ+12lb(ドライブシャッド ノーシンカー用)
・ハリアーF-スペック+T3 AIR+7lb(ヘビーダウンショット用)
・スティーズ63MH+スティーズLTD+レッドスプール12lb(ビッグベイト用)
ヒット
9:00
ディープで有利な展開をするためのタイムリミット。とうとう、その時間。。
それにしてもこれまで、バスからの反応は一切ないと言っていい。
藤林大橋と川俣大橋の間の、小さなワンドの前にさしかかった時、この小さなワンドの攻略について、チャーリー近藤が語ってくれた。
昨日、このワンドのバンク際、フロッグ使いのバサーに一発出たという。
そして、中央部の10メートルラインでは、近藤自身もアタリを確認している。
バンク際をドライブシャッドのノーシンカーで丁寧に打った後、ドライブクローラー4.5inのネコ、2.2グラムネイルシンカーを入れてのベイトフィネス。
最後に中央部の10メートルラインをHPシャッドテールのダウンショットで攻めると言う。
驚くことに、既に釣りのイメージは完成している。
「このワンド、魚探への映りかたは今日一番だね。」
ドライブシャッドとドライブクローラーが不発に終わり、メインロッドであるスティーズ・グレイゴーストを手にしたチャーリー近藤が言った。
そして、ヒット!
▲ ノンキーパーなれど、ナイスな1尾
9:30
やはり10メートルライン。
HPシャッドテール、ブラック・ブルーフレークのダウンショットにヒットして来たのは、24センチ。残念ながら、あと1センチ。。
ノンキーパーとはいえ、この日初のバスに思わず笑みがこぼれた。
この一匹を勝利への呼び水としたいところだ。
呼ばれたのは雨
10:00頃から降り出した雨は、次第に雨あしを強め、刻々と体温が奪われていく感覚。寒い。
しばらく、シンドイ釣りが続いていた。
あの後、ロッドティップを押さえ込まれる様なアタリが何度かあったから、全く釣れる気がしない。ということでもない。
でも、気になっていたポイントも随分と回ったし、ノンキーがヒットしたポイントにも戻ってみたが、結果は出なかった。
本当に大丈夫なのだろうか。。
チャーリー近藤はシャッドを巻いていた。
「雨が降れば、バスは横の動きにも反応し始める。」
朝、近藤が言っていた言葉を思い出した。
ポイント移動に合わせて多用していたシャッド。今はサーチベイトの如く、広く探っている。
フィッシュアラームが鳴れば、ダウンショットの投入も怠らない。とても丁寧な釣りだ。
「なかなか厳しいね。」
「相手のシャロー狙いも、かなり苦戦しているんじゃないかな?」
アタックがあっても、口を開いてくれない可能性が高い。そう感じていると言う。
11:45
つぼりと周辺。上流から流れが当たり、小島を形成するエリア。
上流からの流れが少し開けて、ここで始めて水深がグッと深くなるのだそうだ。
始めてこの亀山を釣る者の言葉とはとても思えない。かなり、下調べをしている様子が伺える。
そして、広くシャッドを巻きながらこのエリアにさしかかった直後、それは起こった。
▲ このあと、このエリアで。。
フィッシュアラームが鳴り止まない!
凄い。魚探への反応は、今日一番。とても激しい映り方だという。
すかさず、チャーリー近藤、メインロッドに持ち替える。
12:15
やはり根掛りではなかった。
ダウンショットを枝に巻いて上がってきたのは、まさに待望のキーパーサイズ。
「やったー!やっと一匹目」と、チャーリー近藤も嬉しそう。
ホッとした。なんだかとっても、長かった。
ホントにやった!この一本はデカイ。。
ではない。
近藤は、『一匹目、』 と言ったのだ。27センチ。320グラム。
今度はオダに巻かれない様、シンカーは2.6グラムから1.3グラムに変更した。
カラーも、信頼のブラックブルーフレークから、少し弱めの色に変えた。
これから、残りのバスを釣るのだ。
相変わらずフィッシュアラームが鳴リ響いている。
▲ 獲った!今度はキーパーだ!
帰港
「どう? 釣れてます?」
電話のお相手は、昨日のプラで近藤がガイドを依頼した人物。この日も釣りに出ていた。
「お助けカード使って、情報、仕入れませんか?」
次の1尾が続かない状況から、つい口にしたこちらからの提案に、こころよく応じてくれたチャーリー近藤であった。
何か凄いパターンでも見つけてくれていればと、にわかに期待が高まるも、残念ながら釣れてはいない様子だ。恐ろしく渋い一日。。
ところで、チャーリー近藤が巻き続けるシャッドは、ロッドマンのオリジナル。
まだプロトではあるが、氏が心血注いで作り込んでいる逸品。その威力がハンパない。
あの後、50センチ近いヘラを掛け、バスも一匹バラシて、それで納竿。フィッシングストップを迎えることとなった。
キーパーは1尾。この一匹では勝てない。と言う。
反面、相手は恐らく釣ってはいないのでは?とも言う。
やり残しはない。
絶対の実力を持つ、帝王・近藤健太郎のベスト・スコアが確定した。
同時に、対戦相手、赤松美陽の存在感が更に大きく感じられた瞬間でもあった。
(ア)